事業承継の事例

病気をきっかけにお客様との繋がりを次世代へ託す



個人事業主の期間を含め30年以上にわたり、宝飾品及び寝具類の販売を手掛けてきた株式会社グランド。
北関東地域で地道な職域訪問で培ってきた個人顧客との信頼関係を何よりも大事にし、事業を拡大してきた。
順調に見えた同社が、なぜM&Aによる事業承継を選択することになったのか。





事業売却を考え始めたきっかけ


売主の海藤社長は20代の時に当時勤めていた会社を退社し、当時まだ機能開発や販売チャネルが充実していなかった羽毛布団が売れると考え、身一つで起業を決意されました。独立当時、既に奥様とご結婚されており、ちょうど長男が生まれた頃であり、不安の中での船出となったそうですが、海藤社長の狙いは的中し、羽毛布団を中心とした寝具類が飛ぶそうに売れたそうです。

時代の移り変わりとともに羽毛布団の需要も落ち着きを見せ、お客様の声をもとにネックレスや指輪、イヤリングといった宝飾品の販売にシフトしていきます。「顧客との信頼関係がしっかりと築き上げられていれば売るものは何でもいい。但し、本当に自分がいいものしか売らない。」という信条のもと、30年以上にわたり会社を経営されてきました。

ところが、70歳になった頃から持病であった糖尿病が悪化し、靴が履けなくなり、1日に訪問できるお客様の数も落ちてきました。
次第に、「気持ちはまだまだ元気なのに、身体が気持ちについてこなくなった。そして気持ちも折れそうになってきた。」と、引退を意識するように。


自分の会社が売れるとは思わなかった


海藤社長は昔から株式投資が趣味で、その縁で懇意にしていた証券会社の営業担当者との話の中で「会社を売却する」という選択肢があることを聞かされました。

それでも、「自分の会社を買いたいという経営者はいるのだろうか?」、「自分の会社に価値なんてつくのか?」と、当初は全く期待していなかったそうです。

会社の価値がどのように計算されるのか、特にスモールM&Aで採用されている計算手法などを1つ1つ学び、実際に買い手候補からの提案金額などと照らし合わせることで、徐々に実現可能な水準であることを信じるようになっていきました。


親族内承継ではなくM&Aを選んだ理由


海藤社長には、息子さんと娘さんの2人がいらっしゃり、娘さんは海藤社長と同じ会社で働いています。実は息子さんは過去に後継者として同じ会社で働いていた経験があり、海藤社長からノウハウや経験を伝承しようと試みたものの、息子さんには合わなかったようで、現在は外資系企業でプログラマーとして活躍されています。

娘さんに承継することも考えたが、「30年以上このビジネスをやってきたが、決して楽なことばかりではなかった。娘に継いでしまったら苦労をかけることが分かっていたから、娘には継がせなかった」と当時の状況を振り返ります。

M&Aにより、30代の経営者に株式会社グランドを託した海藤社長。
「新社長は優秀な好青年。30代にして既に複数の事業を経営している。彼ならやってくれると信じている。」と今回のご縁に満足されていらっしゃいました。
会社を売却された現在は、趣味であった株式投資のトレードに励まれていらっしゃいます。


M&Aを検討している方へメッセージ


最後に、海藤社長からM&Aを検討している方へメッセージをいただきました。

「ほんの数年前まではM&Aで自分の会社が売れるなんて思っていなかった。不動産の価値は貸借対照表を見れば分かるが、事業の価値を含めた会社の価値についてもアドバイザーの方に教えてもらい、概算でいくらで売れるか聞いたが最初はその価格で売れるとは信じてなかった」。

「M&Aの工程や、契約書の内容、銀行との交渉方針など、色んな話が次から次へと出てきて、正直全部を正しく理解できていなかったが、丁寧にかつスピーディーに対応してくれる担当のガゼルパートナーズさんになら任せてられるという安心感があったので、心配はなかったです」。

「M&Aを検討している方へ何かお伝えできることとしては、まずはアドバイザーに相談してみることをお勧めしたい。もちろんネットで調べたり経営者仲間に相談したりするのもいいけど、情報量が多すぎても決断できなくなってしまう。相談できる人がいると心労も軽減されると思う」。

「私がこうして無事に引退して好きなことをやって過ごせているのも、すべては周りの人に支えてもらったおかげです」。

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