若手経営者による会社売却の事例

相談受付から3か月のスピード譲渡



令和元年に、メディア製作を通じて海外に向けて日本の企業や文化を伝えていくことを目的として創業された株式会社Discover Deep Japan。シリアルアントレプレナーであり社会起業家でもある創業者の尹社長は30代にして複数の事業を経営する。
新規事業に自身のリソースを集中するため売却を決意してから、どのようにして3か月という短期譲渡を実現したのか。






オンラインM&Aプラットフォームの活用


売買代金1億円以下のスモールM&Aであれば、インターネット上で会社・事業を売りたい人と買いたい人を繋ぐオンラインマッチングサービスを活用するのが一般的になりつつあります。今回はオンラインM&Aプラットフォームを活用することで短期成約を実現することができた事例をご紹介します。


ひと昔前までは、M&Aアドバイザーは金融機関や税理士・会計士といった士業とのネットワークを活用し、一次的(直接的)に接点のある方から情報提供を受ける形で売り手や買い手情報を集めるのが一般的でした。


今日のICT技術の進化と、インターネット上の取引の一般化、そしてM&A仲介業大手を中心として立て続けにプラットフォームビジネスを展開し始めたことで、会社の売り買いもインターネットで行われる時代になりました。オンラインでM&Aの検討が進むことで、対面型のコミュニケーションが中心であった以前と比較して必要な工数・日数を大きく減らすことが可能になりました。


オンライン特化のコミュニケーション


売却プロセスは、守秘義務契約を締結し情報開示をいただいた後、何度か売主との打ち合わせを通じて企業概況書を作成し、事前に登録しておいたノンネーム情報(企業が特定されない程度の会社概要)を見て関心を持った買い手候補者に企業概況書を交付し、Q&Aや面談を通じて相性の良さを確認していくという工程が一般的です。

売主は、複数の企業を経営する多忙な経営者であり、ご自身のリソースの集約のため1日でも早く売却したいというご要望がありました。


クライアントの要望に応えるため、今回は事前の準備を最低限とし、速やかにスタートを切ることに決めました。また、日々のやり取りは電話とメールの非対面コミュニケーションとし、情報共有に関してはクラウドストレージサービスを最大限活用することで双方向で一元的にデータの更新をかけるなど、スピード重視で工程で進めていきました。


弊社では買い手企業との面談を通じて売主との相性を探る方針としていますが、短期間で取りまとめるために初回面談はすべてオンライン会議でお願いをしました。多いときで1日6件の面談が入りましたが、日程調整も含めこれほどの面談を短期間でこなせたのもオンラインだったからと言えます。


入札形式でスクリーニング


売買代金が10億円以上の中規模・大規模のM&Aでは、候補者の絞り込みのために入札形式を採用することが多いですが、スモールM&Aでは大人気案件出ない限り個別対応で交渉を進めることができますので入札形式はあまり採用されません。


本件では、数十社の交渉を同時並行的に進める必要があったため、あらかじめ最低入札価格と評価基準(売主側が希望する条件の優先順位)を公開し入札を開催しました。


交渉が破談するリスクを踏まえ2次プロセスには2-3社残すのが定石のところ、譲渡金額などの経済条件だけでなくデューデリジェンスに必要な期間、買い手の意思決定方法、買収資金原資などを確認した上で、1次入札で1社にまで絞り込むことにしました。


幸い、その1社で交渉が無事まとまり、こうして短期クロージングを実現することができました。


余談ですが、株式譲渡契約の調印のために売主・買主・アドバイザーの3者が一堂に会しましたが、そのとき全員が初対面だったことがとても印象的でした。



まとめ


  • オンラインM&Aプラットフォームを活用することで短期成約(売却)を目指すことも可能になる
  • コミュニケーションはTPOを意識しつつもオンライン・ツールを最大限活用することで時短化を図る
  • データのやり取りはVDR(バーチャルデータルーム)を活用し、Eメールによるデータ送受信を減らすことで工数の短縮が期待できる


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